予防教育的アプローチによる
大学生のレイプ神話受容態度の変容
0011 0010 1010 1101 0001 0100 1011
北風菜穂子1） 伊藤武彦2）
1
井上孝代3）

1）明治学院大学大学院心理学研究科 2
4
）和光大学 3
2
5
）明治学院大学

2008年度日本コミュニティ心理学会 会場：愛知学院大学
2008/06/14～15

問題の背景
0011
• レイプ被害女性の９割が加害者を知っている
0010 1010 1101 0001 0100 1011

(男女間における暴力に関する調査，内閣府 2005）
＝顔見知りからのレイプ（Date/Acquaintance Rape)

• ステレオタイプがデートレイプを否認 1
する
「凶器を持った
4
見知らぬ男が藪かげから襲い掛かってきて 2
，被害者
は若くて魅力的で，大声をあげて抵抗し，すぐに警察に 5届ける」

• レイプ被害者への偏見が存在する
「レイプの被害者にも落ち度がある」

問題
• Frese, Moya & Megias (2004)
0011 0010 1010 1101 0001 0100 1011
レイプ神話受容は顔見知りのレイプにおいて，
被害者の責任を大きく認知し，
心的外傷の程度を矮小化する働きを 1
もつ

日本においても，レイプ
4
被害者への
偏見(Rape Myth）低減の必要性は大き 2
5い
↓
教育による偏見低減の可能性については
十分に研究されていない

目的
0011 0010 1010 1101 0001 0100 1011
レイプに関するスライド教材の視聴の前後での
• レイプ神話受容
• レイプに対する社会的認知
の変化を
1
明らかにする
５つの予測
１ レイプ被害者に好意的な態度得点の
４ 加害者責任帰属得点の増加
５ 心的外傷の推定の得点の増加
4
増加
２ 知識問題の正答の増加
３ 被害者責任帰属得点の低下
2
5

方法
1. 実験期間： 2007年11月
0011 0010 1010 1101 0001 0100 1011
2. 実験参加者： 首都圏私立大学の学生403名
有効回答243名(男145名，女98名，M=21.1歳)
3．実験手続き：大学の授業時間に事前事後テストおよび
メディア教材の視聴を行った
4．効果の測定に用いた変数
•
レイプ神話受容を測定する翻訳版Rape 1
Supportive
Attitude Scale 17項目(Lottes, 1998
42
片岡・堀内・森訳 2001)
•
性暴力に対する知識問題13項目 (片岡ら 5, 2001)
•
レイプシナリオ（知人，夫婦，未知，デートの４場面）
(Frese et al., 2004を一部加筆)
•
レイプの社会的認知
《被害者責任，加害者責任，心的外傷の程度》

実験デザイン（不等価事前事後テストデザイン）
事前テスト
事後テスト
0011 0010 1010 1101 0001 0100 1011
＜実験群＞
①レイプ被害者に
①レイプ被害者に
スライド教材
好意的な態度
好意的な態度
視聴
②性暴力の知識
②性暴力の知識
③被害者の責任
1
③被害者の責任
④加害者の責任
④加害者の責任
＜比較群＞
⑤心的外傷の大きさ
⑤心的外傷の大きさ
ビデオ視聴
42
5
得点の変化なし

教材の内容
ビデオ視聴群
0011
ス 0010
ラ 101
イド 0 1101 00
視聴群 01 0100 1011
• 筆者ら作成のスライド
• 戦時レイプの被害者が
出演し，国際法廷で証言
• レイプ神話の誤りについ
ての説明，顔見知りレイ
する様子を記録したド
プについての説明を内
キュメンタリーVTR
容に含む。
• レイプ
1
被害者の語り
• 出典：《レイプの二次被
• 出典：《沈黙の歴史をや
害を防ぐために》（アジア
ぶって 女性国際戦犯法
女性基金)
4
廷の記録》
2
5

結果 レイプ被害者に対する態度
6 2 .2 9
6 9 .7
6 7 .0 4
6 7 .0 4
80
6 4 .2 5
5 8 .7 4
6 2 .1 6
6 2
75
pre
0011 0010 1010 1101 0001 0100 1011
70
post
65
60
55
50
45
40
男 (d=.38)
女 (d=.44)
男 (d=.29)
1
女 (d=.35)
実験群
対照群
• 時間の主効果あり男：F(1,143) =8.331, p =.005， 4
女：F(1,96) =24. 2
5003, p <.001
• 時間×群の交互作用 n.s.

※ｄ＝効果量ES

結果 性暴力の一般知識
12
8.63 8.93
7.83
8.91
7.53
7.71
8.09
10
7.3
0011 0010 1010 1101 0001 0100 1011
8
pre
6
post
4
2
0
男
女
男
(d=.10)
(d=.17)
(d=-.21)
1(d=-.48)
• 時間の主効果 n.s.
• 時間×群の交互作用 女性のみ有意 4
女
実験群
対照群
2
F(1,96) =9. 5
458, p =.003

※ｄ＝効果量ES

結果 被害者の責任の帰属(知人)
5
2.98
2.97
2.7
2.58
2.67
4
0011 0010 1010 1101 0001 0100 1
2. 011
2
2.33
2.43
3
pre
2
post
1
0
男 (d=.39)
女 (d=.75）
男
(d=.38)
1(d=.24)
女性のみ 時間×群の交互作用あり F(
※ｄ＝効果量ES
4女
実験群
対照群
1,95)=7.03, 2
5p<.01
→スライド視聴の効果が証明された

結果 被害者の責任の帰属(デート)
5
4
0011 0010 1010 1101 0001 0100 1011
2
1.95
2
1.85
3
1.75
1.7 1.83
pre
1.56
post
2
1
0
男
女
男
(d=.05)
(d=.36)
(d=-.33)
1女(d=-.17)
実験群
対照群
女性のみ 時間×群の交互作用あり F(
※ｄ＝効果量ES
4
1,93)=
2
5
4.856, p<.05*
→スライド視聴の効果が証明された

考察 教材の評価
スライド教材視聴の効果
0011
0
010
1010 1101 0001 0100 1011
(対照群との比較による統計的検定による効果測定)
顔見知りによるレイプ（デートおよび知人）での
被害者責任の判断に効果あり しかし効果は女性だけ
→顔見知りによるレイプが存在するという知識提供が
1
偏見を低下させる可能性が示された。

効果量の比較
レイプ被害者に対する態度に対するエフ 4
ェクトサ
2
5
イズは
対照群よりも大きくなった
→レイプ神話受容は，知識提供によって低下する可能性
が示された。

考察 メディア教材使用の利点と限界
0011 0010 1010 1101 0001 0100 1011
利点： 侵襲性が低い
性被害に関連する調査での倫理的配慮の重要性
アクセスしやすく，再現可能性が高い など

限界：
1
レイプ被害当事者の深い理解に
4
は及ばない 2
5
長期的な効果があまり期待できない
すでに知識のある参加者にはそれ以上の効果が
望めない など

結論
＜総合考察＞

0011 0010 1010 110
短時間で 1 0001 0100 1011
の知識提供教材の視聴によって
レイプに関連する態度が変容する
→レイプに関する偏見の低減，
被害者への二次被害の可能性を
1
低める

＜今後の課題＞
レイプ被害者への理解を深めるこ 4
と
→ 関係の中で起こるスティグマ低減のた
2
5
めの
効果的な心理教育的予防プログラムの開発

主要引用参考文献
•
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0011 0010
m
101
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識との関連 名古屋大学大学院(発達教育臨床コース) 修士論文 (未公
刊)