CS HACK #07
ユーザーのためのデザイン。
ユーザーのためのデザイン組織。
UXデザイナー／エンジニア
廣瀬 健
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廣瀬 健 TAKERU HIROSE
UXデザイナー／エンジニア
1985年、愛知県生まれ。ウェブ制作会社勤務、起業を経て、2016年
3月に株式会社クラウドワークスに入社。エンジニアとしてプロダクト
の開発に携わりながら、デザイン組織の立ち上げに参画。2017年3月
よりUXデザイングループに配属。

クラウドワークス
• クラウドソーシングサービス
• 2012年3月 サービス開始
• 会員数151万人（2017年9月現在）

UXデザイングループ
• プロダクト開発組織内にあるデザイン組織
• 2017年3月発足（半年経ちました🎉）
• デザイナー以外も所属（✕デザイナー組織）
デザイナー 3
UXデザイナー ／ コピーライター
UXデザイナー ／ エンジニア
UXデザイナー

UXデザイングループは横断型
開発チーム
開発チーム
開発チーム
マーケティング
サポート
（PO・エンジニア） （PO・エンジニア） （PO・エンジニア）
アーキテクチャデザイングループ（エンジニア）
UXデザイングループ

UXデザイングループがやっていること
デザイン
定性調査
デザイン手法・文化の導入
UX、IA、UI、インタラクション
ユーザーインタビュー
プロトタイピング
グラフィック、コピー
ユーザビリティテスト
デザイン思考

なぜデザイン組織が必要だったのか？

デザイン組織（UXデザイングループ）が無かった頃

必要なときにデザイナーがスポットで対応（ 社内受託）
開発チーム
開発チーム
開発チーム
マーケティング
サポート
（PO・エンジニア） （PO・エンジニア） （PO・エンジニア）
プロダクト以外の依頼も
（コーポレート系など）

デザイナーとエンジニアがお互いのことをよく知らない
なんで見た目だけなのに
これだけの情報で
すぐ作れないんだろう？
作れるわけないじゃん
がんばって実装する
エンジニアは
意味あるのかな…？
すぐ面倒くさがるなー
※イメージです

デザイナーがまったく関わっていない機能がリリースされる
できたー！
なんだこれ
このUIはまずいん
じゃないかな…
※イメージです

プロダクトの開発に
デザインがほぼ取り入れられていなかった

そもそも
なぜ「デザイン」が必要なのか？

DESIGNとは問題解決を行なうためのメソッドであり、
ユーザー視点から どう見えるか よりも どう機能するか を
主軸にしたプロセスである。
『デザイナーとは職種ではなくマインドセットである』(freshtrax)
http://blog.btrax.com/jp/2016/10/18/designer-mindset/

見た目だけが「デザイン」じゃない
ユーザーはどんな
そのときユーザーは
UIデザイン
課題を持っている？
どういう状態？
ユーザーは何を望んでいるか？

デザインとは問題解決のためのメソッドでありプロセス
課題が解決できる
思い通りに使える
UIデザイン
プロダクトのデザイン ＝ ユーザー体験 のデザイン

デザインを実践するための知見
認知心理学
観察・分析手法
情報設計
人間中心設計

デザインを実践するためのプロセス
デザイン思考プロセス（d.school）
ダブルダイヤモンド（英国デザイン・カウンシル）

なぜ「デザイン」が必要なのか？
デザインによってプロダクトはもっと良くなるはずだから。

どうやってプロダクトの開発に
デザインを取り入れていくか？

デザインには複数の専門分野の協調的努力が要求される。
（中略）
製品を作り出すときに最も難しいのは、
目的や優先とする事項がそれぞれ異なる多くの独立した
専門分野のすべてを調和させることだからである。
『誰のためのデザイン？ 増補・改訂版』D.A.ノーマン

デザインを取り入れていくために必要なこと
+
デザインを理解してもらう
デザインを実践していく
これらに取り組むために作られたのが
UXデザイングループ

デザインを理解してもらうためにやったこと

見た目だけが「デザイン」じゃない
なんで見た目だけなのに
すぐ作れないんだろう？

プロダクトのデザイン ＝ ユーザー体験 のデザイン

ユーザーの要望をそのまま取り入れればよいわけではない
あれも欲しい
これも欲しい
https://uncrate.com/article/giant-swiss-army-knife/
もっと欲しい

良いユーザー体験

良いユーザー体験
→ 「良い」とは？

「UXガイドライン」を作った
プロダクトがユーザーに与える体験についての指針を、
「こうあるべき」「こうあってはならない」という形でまとめたもの。

「UXガイドライン」を製本して配布した
オンラインでの共有と合わせて、少しでも気軽に読めるように。
（UXデザイングループのメンバー全員で手折り）

「UXガイドライン」の使い方ワークショップ
実際の開発現場でどのように使うかをイメージしてもらえるように、
開発組織のメンバー全員を対象に開催。

良いユーザー体験
→ ユーザーのこと分かってる？

ユーザーインタビューの実施
約半年のあいだに28名のユーザーさんに対して実施。
開発組織全体の週次朝会において分析内容を共有。

ユーザーインタビューの実施
※ふつうの会議室
モニタリングルーム
※ふつうの会議室
モニタリングルームに開発組織のメンバーを招待。
ユーザーさんの生の声を聞いてもらう。

ペルソナ・カスタマージャーニーマップの作成
ユーザーインタビューの分析に基いて作成。
定性調査を開発・施策に活かしていけるように。

もっと
デザインのことを知ってもらうために

UDG図書館
空いてるデスクにデザイン関連の書籍（メンバーの私物）を陳列。
（立ち読みしてくれる人もちらほら）

大図書館時代
最近、他のチームも同じようなことを始めて、
オフィス各所に図書館が乱立。

外部発信（ブログ・イベント登壇）
外部への発信を社内（Facebookグループ）に共有することで、
社内の人からの目が向きやすくなる。

外部発信（イベントの開催）
UXデザイングループが主体となって、
Framerのもくもく勉強会を開催。

できるだけ「UX」って言わない
https://twitter.com/fladdict/status/767649601931268096
「UX」という言葉は語義が捉えづらく、濫用されがち。
できるだけ「ユーザー体験」等に言い換えるようにしている。

デザインを実践していくためにやったこと

デザインが大事なことは分かった。で、どうすればいい？
どんなことを
何をすれば
頼めばいいの？
いいのだろう…？
どうやって
技術のこと
相談すればいいの？
分からないしなぁ…
デザインが開発プロセスに組み込まれていない。

Slackに相談窓口のためのチャンネルを開設
なんでもいいからとりあえず声をかけてもらえるように
「#udg-相談」というチャンネルを開設。

デザインを組み込んだ開発プロセスの可視化
すべての施策・チームに取り入れられるわけではないが、
「○○の部分で入ってほしい」という話ができるようになった。

UXデザイングループ単体で独自の施策を実施
デフォルトのプロフィール画像の変更
どんなことができるか、どんなことをやっていこうとしているかを
具体的に伝える一助になった（と思う）。

徐々に施策にデザイナーが関われるようになっていった
開発チーム
開発チーム
開発チーム
マーケティング
サポート
（PO・エンジニア） （PO・エンジニア） （PO・エンジニア）
アーキテクチャデザイングループ（エンジニア）
UXデザイングループ

2017年7月 部分的にチーム担当制を導入
デザイン組織として
土台が整ってきた
開発チーム
（PO・エンジニア）
デザインに対する
理解が進んできた
施策の立案・実施により密接に関与していくために、
一部のチームに担当デザイナーを置く体制に。

ユーザビリティテストの実施
施策の立案・検証のために実際のユーザーさんを対象とした
ユーザビリティテストが実施されるようになった。

新たなデザインツールの導入
デザイナーとの協働やプロトタイピングが浸透してきたことから、
デザイン共有ツールやプロトタイピングツールを導入。

一部ではデザインが実施できていると言える状態に
開発チーム
開発チーム
開発チーム
マーケティング
サポート
（PO・エンジニア） （PO・エンジニア） （PO・エンジニア）
アーキテクチャデザイングループ（エンジニア）
UXデザイングループ

デザイナーが
もっと他の領域と連携していくために

デザイナー週次勉強会
デザイナー（非エンジニア）が自主的に
Ruby on Rails と SQL の勉強会を実施。

読書会（輪講）
デザイン業務のためのインプットではあるが、
他領域の人と連携していくための「言葉」も培われていると思う。

朝会留学
他のチームが行っている朝会（日次MTG）に、
UXデザイングループのメンバーがお邪魔させてもらう。

現状と今後

現状
2017年3月以前
2017年9月現在
（可能な限り）施策にデザイナーが関わるようになった。
デザインの手法・考え方が組織に取り入れられつつある。

課題
デザイナーが足りない。

これからやっていきたいこと

デザインガイドライン・デザインシステムの策定
プロダクトのデザインを基礎から作り直す試み。
POやエンジニアと一緒にキックオフとなるワークショップを開催。

サポートに寄せられている声を改善につなげる
データベースに蓄積されているお問い合わせなどの情報を、
定性調査のようにプロダクトの改善につなげられないか？

まとめ

とにかく、やってみる。
UXガイドライン
Slackチャンネル
ユーザーインタビュー
プロセスの可視化
UDG図書館
勉強会
外部発信
読書会
etc.
そのときそのときに必要だと思ったことをやってきたが、
結果的には開発組織の変化につなげられた（と思う）。

未来に先回りして点と点を繋げて見ることはできない、
君たちにできるのは過去を振り返って繋げることだけなんだ。
だからこそバラバラの点であっても将来それが何らかの
かたちで必ず繋がっていくと信じなくてはならない。
スティーブ・ジョブズ

プロダクトを通してユーザーの課題を解決したい。
そのためのデザイン。そのためのデザイン組織。

目標は、
すばらしい、顧客に愛される、
優れた製品を作り出すことである。
それはできるはずだ。
『誰のためのデザイン？ 増補・改訂版』D.A.ノーマン

ご静聴ありがとうございました